平岡秀雄(元東海大学ハンドボール部監督)
指導目的:ゴールキーパーの動きの逆にシュートできるようにする。そのため、フォワードスイング時にボールの軌跡を変えられるようにする。
解説:図9はディフェンスとの兼ね合いで、右側にシュートし易いと言える。それは、ゴールキーパーにとってもシュートを阻止しやすい方向とも言える。図10は1997年に熊本で開催された世界選手権大会の準決勝で記録したシュート場面を筆者が3次元解析した際のデータだが、現在の試合でもほぼ同様の結果となると思われる。実線で表記された線は、シュートが成功したケースで、点線はシュート阻止されたケースである。
図10-1はディフェンスにゴール面を限定され、残りの狭いゴール面にシュートしたケースで、シュ
ート成功率は2割程度となった。図10-2はディフェンスのブラインド側にシュートしようとするが、
軌跡の変化が少ないことや、フォワードスイング中にフォームの変化が早めに起こり、ボールの軌跡に
急激な変化が見られなかった為と思われる。
図8-3 はボールリリースの直前にボールの軌跡が変化(手首のスナップ動作で)したシュートで、 全てシュートを成功させていた。
以上のことから、確率良くシュートを成功させるには、下記の2点に着目すべきである。
この2点を、シュートの瞬間に発揮できるように、何度も繰り返し練習させる必要がある。
指導者による具体的教示が「重要」 指導の理由と期待される成果をその場で見せられる。
*学習3段階の“観る→分かる→出来る”のうち、“観る→分かる“までを、一瞬に実現出来る。
<ポイント>
<チェック> 指導者はボールを後方に引く動作、動作時間が遅いかを確認し、評価・指摘する。
練習6 フォワードスイングの途中でスナップを使い、ボールの軌跡を変化させる。
<狙い>ゴールキーパーの動きの逆にシュートする技術を学ぶ、最も重要な練習である。フォワードスイング途 中までのシュートフォームとその後のシュートコースが異なるように練習する。ゴールキーパーがシュートコースの逆に動くまで、何度も練習します。この時ゴールキーパーにシュートフォームとシュートコースが異なって見えているかをその都度確認しておくと修正しやすい。
注)図12のケースでの説明
練習 7 バックエリア からのジャンプシュートと軌跡の変化
<狙い>空中でシュートフォームをコントロール出来る。
<練習ポイント>
<シュート動作の提示>
<チェック> フォワードスイングの途中でボールのコースが変化しているか?
以上のボールの軌跡を変化させるシュート練習を段階的に実施すると、ゴールキーパーが動く方向の逆にシュートする方法を理解できる生徒が多くなる。ハンドボールで最も魅力的なプレーを、誰もが実践出来るようになれ、チームの競技力はかなりレベルアップが期待できる。
説明: ポストやサイドポジションのシュートの方法
ディフェンスをかわしてのノーマークシュートとなるので、シュートフォームと異なる場所へシュートする事だけに専念する。
<狙い> GKはボールリリースの直前にシュートコースを判断しないと、ボールに対応できない事を体験させるため。
ボールの軌跡
例)右上のコーナーにシュートするよう自分に言い聞かせ、ボールリリースの瞬間に手首を使って脇にコースを変えると、ボールが脇を簡単に通過する。実際のシュート場面では、ゴールキーパーとの駆け 引きが有るので、脇にだけシュートすれば良いとは言えない。
・ポストでのシュートも同様で、自分のフォームがキーパーから見てどちらにシュートしようとしている様に見えるかが推察出来れば、その先は簡単になる。
練習8 サイドシュート
<狙い> 基本はしっかりジャンプをして、高い位置(ゴールキーパーの手の上)から得点できるようにする。次に高い位置へシュートする様なフォームで、スナップ(手首)を使って脇にシュート出来るようにする。